【インタビュー】柾花音「バーチャルな世界にも“リアルな”熱量はある」
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【インタビュー】柾花音「バーチャルな世界にも“リアルな”熱量はある」

2021年8月28日-29日の2日間にわたりZAIKOで行われた、柾花音(マサキ カノン)のバースデーライブ「柾花音 Summer & Birthday Live 2021」。生配信オンリーの本イベントを大成功させ、リアルとバーチャルを行き来する彼女は、メタヴァース(仮想空間)以降の新たなアーティスト像を提示している。

「歌ってみた」動画やカバー楽曲のリリースなどで昨今の音楽シーンを賑わせており、2021年6月に発表されたカバーアルバム『まかのんソングス~あにそん~』はAmazon新着アルバム3位にランクインした。同年9月には2ndカバーアルバム『まかのんソングス~じぇいぽっぷ~』をリリースし、現在大注目されている。

自身のオリジナル楽曲を2曲含む、2日間合計で24曲を披露。1日目と2日目でセットリストの順番は大きく変更されており、通し券でライブを体験したオーディエンスは両日で全く異なる印象を受けたはずだ。彼女の節目を祝福するにふさわしい、豪華な内容の配信イベントだった。本稿は、このイベントの後日談を踏まえた、今後のバーチャルライブの展望に迫るインタビュー記事である。なお、本稿の後編にあたるライブレポートも間もなく公開予定だ。

取材:川崎友暉

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2日目の公演前、素敵な館内アナウンスでライブは幕を開ける。「本日は、『柾花音 Summer & Birthday Live 2021』にご来場いただき、誠にありがとうございます。開演に先立ちまして、ご来場の皆様にお願い申し上げます。許可のない写真撮影、録音・録画は固くお断り致します。『どうしても繰り返し観たいよー』って方は、アーカイブ付きのチケットをご購入下さい。客席内での飲食はご自由にお楽しみ下さい。また、全館禁煙などの縛りもございません。お好みのスタイルで、足を崩すなどしてお楽しみください。携帯電話、アラーム付きの腕時計なども、他のお客様のご迷惑になることも特にございません。自己責任でお切りください。体調が優れないお客様や37.5℃以上ある方も、お体の許す範囲でお楽しみいただけます。また、小さなお子様のいらっしゃる方はぜひ一緒にご鑑賞下さい。画面の前でご自由に声を出したり、音に乗ったりしてお楽しみ下さい。皆様のご理解、ご協力をお願い致します。…柾花音でしたっ!」。

- 楽しい週末をありがとうございました! 特に2日目はライブ開始前から本当に楽しんでいました。私は開演15分ぐらい前にログインしたのですが、館内アナウンスには気持ちを盛り上げてもらいました。あのアイデアは柾さんが考案されたものですか?

嬉しい感想をありがとうございます。アナウンスやってよかった!(笑)。ライブのリハーサルの時に「ロビーが完成しましたよ」とスタッフさんから映像を見せてもらったんですけど、その時点で「こんなに素晴らしいものを作ってもらったんだから何かしなければ」と考えていました。1日目にBGMだけだともったいないと感じまして、せっかくだし喋るか!ってことで、あのアナウンスに至りました。本番前のワクワク感って、代え難いものがあるなと改めて思いましたね。

- バーチャル界隈、特にVTuberのライブ事情を見ていると、現状では2days公演よりも1day公演のほうが一般的であるように感じます。今回のライブが2daysに至った経緯を教えて下さい。

今年のバレンタインライブの時に、あまりにも楽しかったので「これ1日じゃ足りないよね?」って演者間で話してたんです。。私は勢いに任せた冗談のつもりだったんですが、それが本当に実現してしまった(笑)。8月前ぐらいになって、「2daysやるよ!」と言われまして。なので、私もビックリしたんですよ(笑)。その場のノリだと思っていたことがが現実になってしまったと。

- バーチャル界隈で1day公演が多い理由ですが、私は「数」の問題があるのではと推察していました。再生数やSNS上の盛り上がりなど、バーチャルの世界は良くも悪くも数字が強調されてしまう気がして。2days公演ですと数字が分散してしまうリスクがあると感じていたのですが、今回のライブではそれを度外視されていたのでしょうか?

そうですね。今回はそういったことは考えませんでした。私たちが見据えてるものが“リアルなライブ感”なので、バーチャルな世界でも生身のアーティストと同じことをやりたいんです。例えばリアルなアーティストは、ツアーなどで全国を回って何度もライブをやるじゃないですか。その時々のお客さんは違っても、その場で起きていることはリアルタイムで共有できるんですよね。だから、そういうパッションのやり取りをできる機会は多ければ多いほど良いと思ってるんです。まぁ、スタッフさんやバンドのみんなは大変なんですけど…。

- ライブパフォーマンスでARが使われたりすると、技術的なハードルも高そうですもんね。仰るようにテクニカルな苦労も多々あったと思いますが、演者である柾さんが感じた面白さや苦労があれば教えてください。

ライブ中に技術的なトラブルがありましたが、他のメンバーもいたおかげで、トラブル解消のアイデアが増えました。そういうチームワークを感じられたのが、個人的にはすごく嬉しかったですね。バタバタと対応してくれるスタッフさんを見てました。本当に心強かった。

- やはりオケ音源を流してひとりで歌うのとは全然違いますか?

私もそうですけど、コメントの熱量も全然違いますね。例えば「歌ってみた」動画に“うおおおお”というコメントがついたとして、それと全く同じコメントがライブで流れてきたら感じ方は全然違います。本当に感覚的な話なんですけど、それに呼応して私のテンションもどんどん上がっていくんです。

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- 以前からお聞きしたかったのですが、オーディエンス側の熱量って伝わっているのでしょうか? テキストベースのコミュニケーションですと、どうしてもタイムラグが発生してしまって「俺のこの熱量は画面の向こうへ伝わっているのだろうか…!」と思うことが多々あったんです。これはもう、パンデミックの前から。

私の場合、ライブ中はいつでもコメントが見える状態にしています。確かにわずかなラグがあるものの、リアルタイムでそれを見られています。なので、私にはみんなの熱量が伝わってますね。

それから、リアルライブだとまさに“うおおおおお”っていう歓声に集約されるじゃないですか。何か文章で叫んでいても、ほとんどがその歓声にかき消されてしまう。コメントの良いところって、ひとりひとりが何を言っているのか分かる点にあると思うんです。それはライブ配信における“新しい良さ”なんじゃないですかね。それぞれがどう思っているのかを詳しく知ることができるのは、演者にもありがたいのではないでしょうか。

案外、歌いながらコメントも見られるものなんですよ。…もちろん、歓声も浴びたいですけど(笑)。拍手の絵文字だったり、「!」マークがいっぱい付いたエモい文章だったり、勢いのあるコメントもちゃんと届いてます。バラードだとむしろコメントの流れが遅くなるんですけど、そのように曲によって変化するのも好きですね。ちゃんと聴いてくれてるんだなって感じます。

- そういったオーディエンスの声はご自身の歌唱スタイルにも影響がありますか? 例えば柾さんの場合、“がなり”が特徴のひとつだと感じますが、オーディエンス側もそれを求めている場面が度々見られるように思います。

あると思います。私の目にも“がなり”に関するコメントは相当入って来るので、そりゃあこっちも気持ちよくなってがなっちゃいますよね(笑)。オーディエンスの反応はやっぱり励みになります。演者と観客が相互に熱くなってゆく感じは、バーチャルでも実践できていると思います。

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- それは個人的にも嬉しい発見なので、今回のインタビューでも強調して書いておきます(笑)。…話は変わりますが、今後ZAIKOがシステムをアップデートしていく上で、「これだけは残してほしい」と感じる機能はありますか?

チケットの種類を分けられるのはありがたいですね。今回私たちは内容にあわせて複数のチケットを販売したんですけど、他のプラットフォームでは有料or無料の2択が一般的だと思うんです。有料の中でもオーディエンスに複数の選択肢を提供できるっていうのは、私たちのアイデアの発想にも繋がって来る気がするので。なので、チケットオプションの豊富さは今後も残していただけると嬉しいです。

今回の2days公演で通しチケットを販売できたのも、そういったオプションを応用したものなので。今回のステージはひとつだけでしたが、ステージの数を増やすこともできるそうなので、次回はまた面白いことができるんじゃないかとも思ってます。副音声配信とかもやってみたい(笑)。

- 副音声、面白そうですね。柾さんならすぐに実行できそうな気もします。ライブ後にはアフタートークの模様をYouTubeにアップされてましたが、あの動画の内容がそもそも副音声的だと感じました。

普段はメンバーシップ限定で配信してるんですが、今回は一般にも公開しました。VTuber界隈を見てて思うんですけど、そのライバーだけでなく周りとの関係性もコンテンツ化している傾向がありませんか。ファンの方も結構そこを気にしてらっしゃるように見えるんですね。なので、ライバーにとってそこがどれだけ安全で居心地の良い空間なんだっていうことは、私たちも伝え続ける必要はあるのかなと。実際、私は今の環境にとても感謝しているので、私に関してはむしろ「全部見てくれ」って感じです(笑)。

- より厳密に言うと、柾さんは「VTuber」というカテゴリーにはいませんよね。ご自身にとって最も心地よい解釈は何ですか?

それはまだ私も模索中なんですけど、架空の存在というよりは「柾花音」というリアルな人間の表現媒体のひとつとしてバーチャルがあるって感じですかね。あくまでも柾花音が、アバターとしてそこにいるといいますか。今年の5月にZAIKOさんでライブをやらせてもらったときはアニソンをメインに歌ったんですが、アバターだとしっくり来たんです。対して、クールなセットを組むときは生身のほうがいいのかなとも思ったり。まだ全然確定していないんで、今後大きく変わる可能性もあるんですけど…。そもそも素の私が騒々しいので、キャラクターの区別もそこまでできないかもしれません(笑)。

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- 音楽のモードでリアルとバーチャルを切り替えるのは面白いですね。現在のバーチャル界隈では特定のジャンルに準拠したアーティストはそう多くない気がします。先日のライブではクールな側面が強く出ていたような気がしますが、今回のような場合には生身で臨む可能性があるということですか?

そうですね、まさに。ただ、私も特定のジャンルにフォーカスしようとは思ってません。あくまで“モード(雰囲気)”の切り替えとして、リアルとバーチャルを使い分けたいんです。何というか、“一貫性のない一貫性”みたいなのを目指したくて。現時点で自分があがる歌い方はありますけど、今後はそれを広げたいと思ってます。色々な音楽に挑戦してみたい。

- 柾さんのような立ち位置のアーティストがぱっと思い浮かばないんですが、そういう意味ではパイオニアとしての苦労もありそうですね。

いやー、自分でも分かりにくい存在だなぁと思います(笑)。バーチャルな世界は今後もどんどん大きくなってゆくと感じてまして、もっと色々な選択肢が増えていく気がしています。そのときに自分のポジションを確立できてるといいですね。それも目標のひとつです。オリジナルの楽曲も今後はさらに増やしていきたいので、そうなると今とは違うアイデアも出てくるかもしれません。

- 2日目に披露されたオリジナル楽曲の「足りない心」、良い曲ですよねぇ。先ほど「今回のライブではクールな側面が出ていた」と申し上げましたが、この曲がそのモードを引っ張っていたような気さえします。

ありがとうございます!そのままの認識でいてもらって全然大丈夫です(笑)。ぜひお洒落でオトナな女だと思っていただけると(笑)。実は「足りない心」は1日目にも披露してたんです。先ほど言った技術的なトラブルが発生したときに、キーボードを担当する田中和音さんがBGMの代わりにこの曲のアレンジバージョンを弾いてくれたんです。衣装チェンジの時ですね。そういう生配信ならではの出来事が起きてたんですが、当日のMCで触れるのを忘れちゃいました…。オケ音源の配信だとなかなか出会えないトラブルだったので、変な話ですが感動しましたね。「私今、ライブやってる!」って。

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- 最後に、バーチャルライブも含めた今後の展望についてお聞きできればと思います。

テクノロジーの進化と共に私たちができることもどんどん増えてゆくと思うので、それに付いていけるようにしたいです。先ほど例に出しましたけど、ZAIKOさんのシステムではステージのクリエイティブの自由度が高いので、これからもどんどん活用していきたいですね。

STICKITS(YouTubeでいうスタンプ)もカスタマイズの幅が広いので、もっとアイデアを出していきたいです。絵文字などの細かい素材からアレンジできるのはSTICKITSぐらいなので、そういう細部にもこだわりたいと思っています。それから、私の2ndカバーアルバム『まかのんソングス~じぇいぽっぷ~』のリリースパーティもZAIKOさんのプラットフォームで10月9日(土)に開催しますので、良かったらそちらも見に来てください!



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